STEP 01
役割を選ぶ
タブを切り替えると、ハンドアウトと、下の3場面の読み方が入れ替わる。左右にスクロールできます。
読みながら視点を変えるときは、各場面の〈↔〉ボタン(その場面でいちばん遠い読み手へ飛ぶ)か、上部に貼り付く視点セレクタを使う。画面の位置は動かない。
碧海デバイス(大手電子部品メーカー)
知財担当 主役
01共通情報 ── 全員が読んでいるもの大手電子部品メーカー・碧海デバイスは、次世代センサ基板の切断工程を、レーザ加工装置メーカー・北斗レーザ工業と2年前から共同開発してきた。基本技術は両社の共同出願で権利化を進めている。
共同開発契約には秘密保持条項と、改良技術について「両社は誠実に協議する」という一文がある。
先週、北斗の開発課長が、碧海の単独名義で出願された特許の公開公報を見つけた。発明の名称は「レーザ切断方法」。発明者欄には碧海の技術者2名の名前だけが並んでいる。
北斗の社長は、碧海に面談を申し入れた。碧海の量産ライン立上げは5ヶ月後に迫っている。
02あなただけが知っていること- 公開された単独出願は、社内規程どおりに処理した。生産技術から発明届が出て、発明者欄は2名、「社外の関与」欄は「なし」だった。手続きに瑕疵はない。
- 共同開発契約の改良技術条項は「誠実に協議する」の一文だけで、出願前の通知義務も帰属の定めもない。北斗を縛れないが、北斗も碧海を縛れない。割符 / 北斗レーザ工業・社長 と対。北斗の社長も、顧問弁護士から同じ指摘を受けている。両社とも、相手を縛れない同じ一文を握っている。
- 審査請求はまだしていない。特許を受ける権利の持分を移し、出願人の名義を変える手続きは、いまならまだ取れる。
03言いにくい真実前任の時代に、共同出願の持分交渉で一年揉めた案件があり、事業部から「知財が遅い」と名指しされた。それ以来、社外が絡む改良は「まず単独で出して、後で整理する」を自分の流儀にしてきた。
04あなたの目標改良技術の権利を確保する。同時に、隠し評価で信頼を得る。発明届が正しいかぎり、この二つは両立する。発明届が正しいかぎりは。
碧海デバイス(大手電子部品メーカー)
生産技術リーダー
01共通情報 ── 全員が読んでいるもの大手電子部品メーカー・碧海デバイスは、次世代センサ基板の切断工程を、レーザ加工装置メーカー・北斗レーザ工業と2年前から共同開発してきた。基本技術は両社の共同出願で権利化を進めている。
共同開発契約には秘密保持条項と、改良技術について「両社は誠実に協議する」という一文がある。
先週、北斗の開発課長が、碧海の単独名義で出願された特許の公開公報を見つけた。発明の名称は「レーザ切断方法」。発明者欄には碧海の技術者2名の名前だけが並んでいる。
北斗の社長は、碧海に面談を申し入れた。碧海の量産ライン立上げは5ヶ月後に迫っている。
02あなただけが知っていること- 出願した切断条件(パルスを分割して熱影響を抑える条件)は、半年前の合同打合せで北斗の開発課長がホワイトボードに描いた案が出発点だ。自分たちはそれを量産条件に詰めた。割符 / 北斗レーザ工業・開発課長 と対。北斗の開発課長は、その日付の実験ノートと打合せの写真を手元に持っている。片方の記憶だけでは、どちらの発明かは決まらない。
- 量産ラインの条件出しは、北斗の技術者の現場立会いなしでは、まだ安定しない。
03言いにくい真実発明届の「社外の関与」欄に「なし」と書いたのは自分だ。書けば共同出願の調整で出願が半年遅れる、と先輩に言われた。発明報奨の評価期限も迫っていた。
04あなたの目標5ヶ月後の量産立上げに、改良条件を間に合わせる。この役は、出願の真相を知っている唯一の碧海側の人間であり、それを話せば自分が傷つく。
碧海デバイス(大手電子部品メーカー)
事業部長
01共通情報 ── 全員が読んでいるもの大手電子部品メーカー・碧海デバイスは、次世代センサ基板の切断工程を、レーザ加工装置メーカー・北斗レーザ工業と2年前から共同開発してきた。基本技術は両社の共同出願で権利化を進めている。
共同開発契約には秘密保持条項と、改良技術について「両社は誠実に協議する」という一文がある。
先週、北斗の開発課長が、碧海の単独名義で出願された特許の公開公報を見つけた。発明の名称は「レーザ切断方法」。発明者欄には碧海の技術者2名の名前だけが並んでいる。
北斗の社長は、碧海に面談を申し入れた。碧海の量産ライン立上げは5ヶ月後に迫っている。
02あなただけが知っていること- 次世代ラインの装置は、北斗の一社購買を前提に設計している。代替メーカーへの切替には最低9ヶ月かかる。
- 競合のセンサメーカーが、北斗に装置の引き合いを出しているという噂がある。
03言いにくい真実北斗を下請けとして扱ってきた自覚がある。価格交渉では何度も押し込んだ。今回の件は、向こうから見れば「またか」だろう。
04あなたの目標量産立上げの期日を守り、北斗の装置供給を確保する。時間と供給の二つが、この役の目的関数に入っている。
北斗レーザ工業(レーザ加工装置メーカー・従業員150名)
社長
01共通情報 ── 全員が読んでいるもの大手電子部品メーカー・碧海デバイスは、次世代センサ基板の切断工程を、レーザ加工装置メーカー・北斗レーザ工業と2年前から共同開発してきた。基本技術は両社の共同出願で権利化を進めている。
共同開発契約には秘密保持条項と、改良技術について「両社は誠実に協議する」という一文がある。
先週、北斗の開発課長が、碧海の単独名義で出願された特許の公開公報を見つけた。発明の名称は「レーザ切断方法」。発明者欄には碧海の技術者2名の名前だけが並んでいる。
北斗の社長は、碧海に面談を申し入れた。碧海の量産ライン立上げは5ヶ月後に迫っている。
02あなただけが知っていること- 碧海向けの売上は全社の4割。正面から争う体力はない。
- 共同開発契約の改良技術条項は「協議する」の一文だけで、碧海の単独出願を止める根拠にはならない、と顧問弁護士に言われた。割符 / 碧海デバイス・知財担当 と対。碧海の知財担当も、同じ一文の弱さを知っている。契約で決着をつけようとすると、互いに相手を縛れないことが露わになるだけである。
- 競合のセンサメーカーから、同じ切断工程を組み込んだ装置の引き合いが来ている。返事は保留している。
03言いにくい真実怒っているのは出願そのものより、2年間「パートナー」と呼ばれてきたことのほうだ。……そして、この改良をうちが先に出願しておかなかったのは、うちの手落ちでもある。
04あなたの目標碧海との取引を維持したまま、自社の装置を他社にも売れる自由を確保する。この役にとって、正しさを証明することは目的ではない。次の受注が目的である。
北斗レーザ工業(レーザ加工装置メーカー・従業員150名)
開発課長
01共通情報 ── 全員が読んでいるもの大手電子部品メーカー・碧海デバイスは、次世代センサ基板の切断工程を、レーザ加工装置メーカー・北斗レーザ工業と2年前から共同開発してきた。基本技術は両社の共同出願で権利化を進めている。
共同開発契約には秘密保持条項と、改良技術について「両社は誠実に協議する」という一文がある。
先週、北斗の開発課長が、碧海の単独名義で出願された特許の公開公報を見つけた。発明の名称は「レーザ切断方法」。発明者欄には碧海の技術者2名の名前だけが並んでいる。
北斗の社長は、碧海に面談を申し入れた。碧海の量産ライン立上げは5ヶ月後に迫っている。
02あなただけが知っていること- パルス分割の切断条件は、自分が社内実験で見つけ、半年前の合同打合せで碧海に説明した。日付入りの実験ノートと、打合せで撮ったホワイトボードの写真がある。割符 / 碧海デバイス・生産技術リーダー と対。碧海の生産技術リーダーは、アイデアの出所を覚えている。どちらかが話さなければ、互いに証明できない。
- 次の世代の改良案(焦点位置の動的制御)が、もう手元にある。まだ誰にも話していない。
03言いにくい真実自社で出願しようと思っていたが、出願費用の稟議を後回しにしていた。公報を見たとき、最初に感じたのは怒りではなく、自分への恥ずかしさだった。
04あなたの目標自分の発明を、自分の名前で残す。この役だけが、次の改良という「まだ渡していない価値」を持っている。
「共通情報」はどの役でも同一である。変わるのは 02〜04 の3ブロックだけ。
割符と記された情報は、片方だけでは意味をなさない ──
開示しなければ、互いに価値を測れない。