同じ交渉を、5人がまったく違う出来事として記憶している。このデモは、その5つの記憶を一人で順に歩き、最後に「相手が自分にどんな点を付けていたか」を開く体験型ケーススタディの試作である。
大和化成の知財担当・事業開発・研究所主任、Helix Materials の CEO・CTO。5つのタブから一つを選ぶ。
事件も時系列も同じ。違うのは、その役が知っている情報と、言えない事情だけ。同じ一つの行動が、視点によって反転する。
他の4名が秘密裏に付けていた「推進」「信頼」の点を開く。タスク達成と他者評価の乖離が、そこで数字になる。
自分がいちばん近い役から入る。どの判断も、この視点では完全に正しく見える。
押すと、その場から動かずに読み手だけが入れ替わる。飛び先はその場面でいちばん遠い読み手(場面1・3はHelix CTO、場面2はHelix CEO)。事件も時系列も、画面の位置すら変わらない。変わるのは読み方だけである。
その二人が、他の4名から何点を持ち帰ったかを見る。
時間があれば残りの3役も開いてほしい。5役そろうと、誰ひとり不合理でないのに交渉が壊れる理由が見える。全視点+設計論まで通すと20分程度。
WGの成果物をどう届けるかには、いくつもの道がある。講義がある。用語や考え方をそろえるガイドライン・ツールの整備がある。本MVPが提案するのは、それらにもう一本を足すものとしての「体験型ケーススタディ」である。どれかを置き換えるための提案ではない。
三つは、そもそも担当している問題が違う。共通言語の整備は、知識と用語の非対称を埋める。講義は、標準的な型を短時間で行き渡らせる。体験型ケーススタディが扱うのは、その二つが済んだあとに残る非対称 ── 目的関数と当事者性のずれである。知識としては全員が知っていることを、なぜ現場で実行できないのか。その一点だけを扱う。
だから三つは競合しない。むしろ共通言語が整っているほど、この教材は短い時間で機能する。用語の説明に時間を使わずに済むぶん、乖離そのものに向き合える。本デモは、その第三の選択肢が実際に成立するかどうかを、7分で判断してもらうために作った。
マダミスの骨格を研修へ移植する変換規則。L1真相層からL5進行層まで、制作と体験が逆順に通ること。運営設計と入稿前チェックリスト。
ADVANCED / 構想・骨子上級コース『電機百年・技術導入の海図』の骨子。知財部が存在しなかった時代の技術導入交渉を6人卓で追体験する構想。プレイ可能な形にはまだ落ちていない、設計の骨組みだけの文書。
ADVANCED A2 / 構想・骨子蔵を失った老舗醤油屋のブランドライセンスを、調印から10年進めて判定する6人卓。A1 の裏返し ── 学ばれる側の席。ハンドアウト本文・年次イベント判定表・長期採点表つき。
本来の研修は6人が同じ卓に着き、3時間かけて交渉し、その場で相互評価を開示する。このデモはその一人歩き版である。ログイン・進行同期・評価入力は実装していない。評価は集計済みの結果を静的に見せている。手法の価値がどこにあるかを7分で判断してもらうことだけを目的にしている。
あなたの「正しさ」は、誰の目的関数の上でマイナスだったか。
設計の考え方(五層モデル ── 制作と体験が逆順に通ること、配線パターン、入稿前チェックリスト)は、設計論のページにまとめてある。